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「21」

21という数字は、ちょうどぼくが上京した時の年齢だ。地元にいたくない理由ができて逃げるように上京した。ぼくが何もかもリセットしたかった年だ。

今の自分からしたら何もそんなことする必要もなかったなと振り返って思ったりもするが、当時はそんな状況ではなかった。精神的にも余裕がなく、知識も経験も何もなかったから、そう行動するしか他に何もなかった。

でも全くの無能で何も知らない反面、パワーを兼ね備えていた気がする。それは”若さ”というパワーだ。

無知で無能なことは危険で危なっかしいが、最終的に非常に強いと感じる。あの溢れ出んばかりのパワーに勝るものはぼくは他に何もないと思う。もしかしたら人間史上最大の武器なんじゃないか。 しかし大勢の大人はあまり若さを兼ね備えていなくて、どこかに忘れてしまっていると思う。ぼくもやっぱりどこか時々忘れてしまっている時がある。 そうやって年を重ねる度に、その都度”あの頃は若かったな”なんて振り返るんだろうか。

だけど今のぼくも全然若い。40代、50代と、年上の人たちの誰よりもぼくの方が若さがある。

ということは、いつどんな時でも数年後、いや半年後、いや明日の自分より今の自分は”若い”ということになる。”今この瞬間”が一番若いということだ。つまり若さのパワーは”今この瞬間”に絶対にどこかに持っているはずだ。ただ単にしまった場所を忘れていて取り出せないだけで、誰もが若さのパワーを必ず持っているということだ。

根本的に若くあるということは、ぼくが考えるに「何も知らないでいること」で「見るもの全てが新鮮であるということ」。 だとすれば、常に新鮮さを求め沢山のモノコトを体験しインプットし続け探求することで、常に若さを所持できていつでも瞬時に出せるんじゃないだろうか。

人間は本当はいつだって何も知らない若造だ。 この日を境に”あの頃は若かった”なんてことは言わないで生きていこうと決めた。

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