こないだ、街を歩いていたら、水墨画展というのが目に入って、ふらっと立ち寄ってみた。どうやら、ある水墨画教室の生徒さん達の作品だった。
ぼくが思う水墨画とは、中国古来から伝わるもので「かなり昔」を感じるものなんだろうと思っていたけど、それは全く違った。水墨画展に飾ってあった作品は、どれも”日常”を描いている作品が多く、現代をとても瑞々しく?描いていたのだ。白い紙に、墨だけを使ってその情景を描く、それは人の表情であったり、街の様子であったり、駅のホームを描いていたりと。ぼくの中での水墨画のイメージがかなり変わった。
観ていて、きっと上手い下手もあるんだろうけど、筆圧が違ったり、筆の太さが違ったり、余白の使い方が違ったりと、人それぞれかなり印象が違った。 中でも雰囲気的に好きな人を見つけた。その人が描いていた絵はどれも抽象的で、情景がくっきりとしていない。しかし、筆圧は強く、線の力強さを一番感じた。まるで抽象絵画を見ているような、そんな”ふわっと力強い”印象だった。
その人(子守知里という作者名)が描いた「発明」というのが、いまだにぼくの中では謎だ。乱雑に描かれた筆跡に、太さや強さが違う筆圧、全てが混じり合って一つの集合体になっていて、あれがなぜ「発明」というタイトルになんだろうか?実際に聞いて見たいものだけど、答えを知らない面白さもあるから、知らないままでいいのだろう。観る側がどうやって理解するのかも、その作品の面白さであったりする。
意図しないセレンディピティ的な水墨画展は、かなり楽しめたのだ。 街を歩くのも、たまにはいい。
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