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「80」

〇〇時代からずっと続く、一子相伝の伝統というものが世の中にはある。そんな伝統芸能の特集を見た。いやー、これって本当によく続くもんだなと感慨深くなった。小さな話だけど、ぼくの場合も、ある種そんなところである。だから、”歴史”なんて呼べないほどものすごく浅いが、二代目、三代目のそれぞれの悩みなど、多少なりとも理解はできる。ぼくもその〇代目の立場であるから。

かと言って、”今のぼく”が思うことは「必ず家業を継がないといけない」ということばかりではないと思うのだ。もちろん、一子相伝の伝統芸能という、長い歴史が作られてきた立場にある人とは全く違うから、感じ方も捉え方や周囲の環境だって全然違うだろうけど、だけどぼくは見ていて、絶対継がなきゃならない!ということもないんじゃないの?とどこか思っていたのだ。だけどそう簡単じゃく、伝統を受け継いでまた次へと伝えていく。そういう、ぼくでは考えられないようなプレッシャーがあるんだろうな

その特集では、次の代となる長男は現在中学3年生で、高校に入るタイミングだった。舞台に立つ姿は、素直で本当にしっかりしていて、さすがだなと思えるものだった。舞台に立てば、やはり次の後継者としてお客からの期待が高まり、ますますそっちの世界に入っていくんだろうな。と、本人も進路は決定的に決まってはいないものの、そんな予想を立てていた。いや、本当に計り知れない葛藤や環境ではあるけれど、一般生活者のぼくの立場で考えると、いやー、でも他にもやりたいことってあったりするんじゃないの?それはやっぱり言葉に出来ないのかな?と、心の中で彼に質問していた。もしかしたら普通の高校生活や大学生活だって送りたいかもしれないし、就職して同期と飲み会、なんてこともしたいんじゃないかな?とか。

だけどその「歴史的重圧」というものの重さは、ぼくらなんかが、普通感じることが出来ないものなのだから、一般論が通用しないということもあるだろうけれど。ぼくは比較的自由にやりたい事をやらせてもらって、結果、家業をやっていくというところに辿り着いた経緯がある。もともと「服が好き」ということもあったからだけど。

そんな経緯もあるし、なんとなく今の時代的にも”やりたい事をやる”ということを後押ししてる気分も感じるから、ぜひ、やりたい事を見極めて、懸命な選択をしてほしい。と願って特集を見ていた。そして考えに考えた結果、悩みに悩んだ結果、伝統芸能をやる事にした!というところに行き着いてほしいと思ったのだ。 まあ何が良いかなんてことは、外野が言うもんじゃないけれど。

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