前回に引き続き思い出話をちょっと書いておこうと。
数年前、とあるカメラマンKさん(自称)と出会った。年齢は当時53歳(自称)くらいで、地元は京都(自称)だと言うことだった。当時ぼくはお店をやっていて、そこにフラっと現れて、自然と意気投合して、仲良くなった。それからというもの、結構頻繁にお店に遊びに来るようになった。
Kさんは遊びに来る度に店内の写真を撮って、ぼくのスマホにシェアしてくれた。ちょうどSNSに毎日写真とか投稿をあげていたこともあり、ぼくとしては物凄いありがたかった。なんとなくそれなりに雰囲気のある写真だったし、コントラスト具合が良かったと思う。
Kさんは、その当時からずっとホテル住まいだった。ビジネスホテルに長期滞在する乗って、どっかの国の外国人じゃないんだから。結構費用も馬鹿にならないはず。一体なんの仕事してるのか?と疑問には思っていたが、それほど突っ込むことはしなかった。
ぼくは写真を撮ってもらう代わりに、ご飯とかに出かけた時は多少おごるようにしていた。そうしないと貸しを作るばかりになっちゃうから。
Kさんの素性をちょっとずつ本人から聞くようになった。本人曰く、地元にいる娘と仲違いをして疎遠になり、地元にいるのが嫌になり、旅をしてる中でこの岐阜に辿り着いたのだとか(自称)。岐阜で作った愛人?恋人?とよく一緒にいるのを覚えている。その女性の名前は忘れたけど、年の割に結構綺麗な女性だった。
岐阜にいるようになって数ヶ月経ち、岐阜の界隈でもちょくちょく仕事を始めたらしく、ホテル住まいじゃなくアパート住まいに切替たいという話があった。もちろんぼくはその方がお金的にもいいんじゃないかって後押しした。しかしKさんは健康保険証や免許証など、一切持っていなかった。その時点でなんとなく察した。流れ者なんだろうなと。いや、我ながら気づくのが遅いと思うが。
でもそんな事ぼくとしてはなんとも思わなかった。要するにぼくにアパート住まいをしたいって相談するってことは、ぼくの名前で借りてくれってことでしょ!?別に全然いいっすよ!場所は決まってるんですか?すでに3万5千円くらいの所に目処をつけていて、そこの不動産屋と会って早速契約した。ってな感じでトトトンっと契約も決まって入居した。
荷物運びも手伝って、それから何回か遊びにいったけど、結構充実しているみたいで、カメラのフィルムやお酒のボトルが転がってたりして、かなり生活感も出ていた。綺麗か汚いかはどうでもよくて、前のホテル生活よりも良くなったのならそれでいい。
それから仕事もちょこちょこ入り始めたみたいで、名古屋の結婚式場?で撮影があるみたいだからって、スーツを着て仕事に行ってたりしてるから、順調に行ってるんだなと。 そんなこんなで1、2ヶ月くらいは会うことなく、3〜4日に一度連絡を取り合う程度になって、さらにもうちょっと連絡を取らなくなった。最後の方はほとんど連絡してなかった。
完全に連絡を取らなくなって2ヶ月くらいの時に、急に大家さんから電話があり、3ヶ月分の家賃が滞納してると。すぐKさんに電話もラインもしたけど、一向に繋がらず、3、4日経って当時のお店のスタッフと一緒に部屋を見に行った時には、正に夜逃げ状態だった。布団は敷きっぱなし、ゴミとかもそのまま、コタツも置きっぱで、歯磨きだって風呂の桶だって全部がそのままの状態だ。正直初めてのことだったので唖然とした。予想してたようでできたなかったんだと思う。とにかく片付けて家賃を払って契約を済ませないと大家さんにも迷惑がかかるから、スタッフに手伝ってもらい片付けて、家賃と電気ガス水道代と、全部3ヶ月分くらい払った。さらにマスターキーも無くなったからそのお金も弁償した記憶が。
こんなことを思い出していた。ただ、これを思い出しても不思議と怒りは湧いてこなくて、自分ってどうかしてんのか?とも思ったけど、別に自分が人に迷惑をかけた訳じゃないから、精神的には全くやられなかった。それに別に偉そうに「してあげた」とも思っていないから、悔しくもなんともない。例えKさんと街でバッタリ会ったとしても、ちょっと金払って下さいよー!!なんて笑って言えると思うな。
以前というか何回かこの話を親友ともしてたんだけど、彼曰く、お前のそういう損得感情がないところが、一番”良い部分”やろうな。例え今後同じようなことが会っても、今回見たいに二つ返事でOKしてあげれる奴のままでいて欲しいよな。なんて本質的なことも言っていた。
確かに、ぼくの父親がそんな感じだ。困ってる人(当然自分が好きな人とか身内など)がいたら、なんとかして手を差し伸べるようなそんな父親だから、父親が社長として会社をやってた時なんか、息子として社員として、いつもそんな姿を見ていた影響もあるだろうか。そしてそういう性分なんだろうと自分も思う。別に世間的や周りの意見はどっちでもよくて、自分がどうするかだけだ。
ただ、体が弱っている時になんでこんなことを思い出したのかはさっぱり分からん。
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