iPhoneユーザーならわかると思うけど、OSがアップデートされる度、ちょっとした新しい機能が増えていって、毎回その新しい機能は、初めはうーんいるんかなこの機能。。と思うんだけど、使っていくうちにそれがスタンダードになっていく。
だから毎回アップデートする直前までは、うーん、もうちょっと後でもいいかなって考えながら、それでも設定のアイコンに赤い丸の通知がついてるのが気になるから、1週間くらいでその我慢が途切れて、そろそろアップデートするかってことになる。
今回もアップデートしたらちょっとした新しい機能が増えていたから、ちょっと試してみるのがなかなか面白い。
LINEなんかを従来通りしていて、文章の途中に文字を足したいなと思った時、その足したい場所に指を当て、ちょっと強く押すとそこにカーソルが行くのが従来のやり方で、そのカーソルが今までは少し動きが硬かったんだけど、今回はとてもスムーズになっていて、おおー!と、少し楽しんでいる。
他にも英数字のキーボードを、一文字ずつタイプするんじゃなく、打ちたい文字から文字へそのまま指をなぞっていくだけである程度の予測変換もしながら文字を表示してくれるのは、自分が英語を常用語にしている外人とかだったら非常に便利になってるだろうなぁと、これもちょっと楽しめた。
一気に変わるんじゃなく、徐々に徐々に、ぱっと見ではわからないくらいのこの変りようって、なかなかいいよな。そして気づいて振り返った時には、ええー!こんなに変わってたんだ!ってびっくりしたりして。
ぼくも作品を完成させるまでに、パッと見では全くわからないところを随分と直してきた。でもその直してきたところには少なからず意図や意味が必ずあって、もともとあった状態より徐々に進化していき、最終形態に近いていく。しかし、いくらアップデートを重ねても、そこに終わりが無いのがものづくりの面白いところなんだよな。
iPhoneが登場した時のあのシンプルな形状に人は驚いた。今までは折り畳みケータイが主流だったのに、それを真新しくさせた。それが今ではスタンダードなんだけど、そこからさらに唯一の物質的なボタンが一切なくなり、ただのディスプレイだけになった。そのボタン一つをとって考えても面白い。この一つのボタンを押せば、全てのメニューのトップに戻ることが出来るという恐ろしくシンプルでかつ非常に分かりやすい。たったそれだけの機能がこれほどスタンダードになってることも面白いし、それがやがてユーザーの指紋を管理し認証するように変貌を遂げた。そのボタンが今度は姿を消してディスプレーの中に入ってしまった。こうして文字にすると結構な変貌っぷりで面白いよな。 こうやって大きく分かりやすい変化は2〜3度だけだったかもしれないが、その過程では冒頭で書いたように徐々に徐々に、少しずついろんな変化やアップデートをしてきている。
ぼくの作品で言えば、さっき完成と言ったけど、実はまだ完成じゃなくて、あくまでもリリース出来る製品へ到達した。という段階。結局はまだ第一段階に過ぎない。リリース後、確実にこれからまだまだどんどん新しく変貌していく。だって製品と化してまず最初にデザイナーさんの分を今年の8月に作ったんだけど、それから2ヶ月弱で、もうすでに襟先の型を微調整して改良しているくらいなんだから。今後まだまだ改良の余地はたくさんある。自分の視点や自社の技術や新しいことを取り入れれば入れるほど、どんどん進化していく。
つまり、本当の完成はずっとしないと分かっている。本当に完成してしまったものって、実は面白く無いんだよな。完成って、ある種余白が無い、伸び代が無いということを意味している。それをどうこう言うわけではなくて、だからこそまた別の真新しいものを作ることが出来る。 きっとどんなアーティストやクリエイターも、それを感じながらものを作っているんだろうと想像する。
完成を目指しながらも、まだ完成して欲しく無いと願いつつ。
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